放課後児童対策事業委託料返還、市が調停を申し立て 

放課後児童対策事業委託料返還、市が調停を申し立て
6月18日の久喜市議会6月定例会で、市は平成19年に発覚した学童保育委託料等の不適切な会計処理による県への補助金返還・市への委託料返還について、原因者のO氏に被害額1531万7千円の支払い請求に関する調停を申し立てる議案を久喜市議会に提案した。
この事件は、合併前の久喜市で発生していた。平成19年度当時に民設の学童保育「久喜児童クラブ」、「江面児童クラブ」は父母会が運営主体となり、市はそれぞれの父母会代表者のO氏と委託契約を締結し実施していた。

O氏は、当時、同時に社会福祉法人春洋会の理事長兼「はるみ保育園」の施設長だったが、はるみ保育園職員からO氏の勤務実態について県に内部告発があり、検査の結果、同保育園と学童保育の経理が一体となっていることが発覚していた。
その後、県と市が改めて実地検査をしたところ、両学童保育の運営主体として契約を締結していたそれぞれの父母会は、組織として実態がなく、さらに現金出納簿等の関係帳簿類も存在していないことが発覚した。
その結果、市は県の求めに応じ、O氏に支払っていた委託料の補助金1350万4000円を県に返還していたことから、O氏にこの金額と市の委託料返還金の残金181万3000円を足した1531万7000円を市に返還するよう調停を申し立てることとなった。

6月6日の市の説明では、平成21年11月に市とO氏、社会福祉法人春洋会で返還協議をすすめることになり、同会とO氏の金銭貸借の権利関係を確定してから、調整ができた後に市とO氏、同会の三者間で債務弁済についての契約締結を行うこととなっていたという。
そして、今年2月に同会とO氏の調整が終わり、いよいよ市、同会、O氏で弁済契約に関わる協議に入る段階に来ていたが、市とO氏の交渉窓口になっていた同会のS氏が3月に急逝。4月に市がO氏と直接交渉の連絡をしたところ、5月から4回の直接交渉を行ったが、O氏から全額返還に応じないという回答があったことから、市は調停を決断したという。

<ちょい一言>

 議案では、調停が目的を達しない場合には訴訟を起こすという。これまで、調整をしていた経過からすれば先ずは調停を申し立てるのは妥当だろう。調停の結果次第で、訴訟を起こすというのも当然だ。
ただ、“粘り強く”調整・交渉を進めていたとはいえ、時間がかかり過ぎているという感は否めない。申し立て後は、調停自体、あまり時間はかからない手続きだし、不調の結果、訴訟を決断するまでは時間はかからないはずだ。
早期の解決を期待したい。

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