液状化被害の救済、市議会などが国に要請 

 

液状化被害の救済、市議会などが国に要請
 今日午後、延期になっていた久喜市南栗橋地区の液状化被害の救済を国に要請した。この要請活動は、久喜市議会の会派「政策会議」が4月27日の議会代表者会議で提案していたもの。議会各会派が了承し、日程を調整していたものの、内閣府などの国の予定変更などで延期になっていた。

当初、要請活動は、久喜市議会が独自に行う予定だったが、市議会と久喜市(行政)が一体として要請した方が国への要請活動としては効果的だろうとの判断から、久喜市(行政)とともに要請活動を行った。そして、久喜市が要請活動に加わることから、要請文案は久喜市が起草したものを議会代表者会議での全会派の同意を経た上で、これを要請した。南栗橋地区を選挙区とする梅沢埼玉県議会議員もこの要請活動に加わった。
また他にも久喜市議会と久喜市、県議の要請活動には、埼玉県の危機管理防災部長も同行して、埼玉県からの要望と上田知事からの親書を国に手渡した。

要望をした国の機関は、今回の震災対策を統轄する内閣府で、当初は内閣府特命担当大臣(防災)に直接行う予定でいたが、国会などの予定で急遽予定が変更に次ぐ変更となり、今日の面会は長谷川内閣府大臣官房審議官(防災担当)だった。

要望活動では、埼玉県内選出の野木代議士が司会を進行。同席した国会議員が自己紹介した後に田中市長から長谷川審議官に南栗橋の救済策が要望された。要望は、パネルなどを使って分かりやすく説明し、具体的な案を提示した。
しかし、要望を受けた長谷川審議官からは、既に制度(被災者生活再建支援法の住家の被災程度認定基準など)の見直しを一部行っていることから、先ずはこの制度でもう一度、しっかりと再認定をしてほしいということが述べられた。そしてその上で、国としてのさらなる制度見直しは難しいと述べ、もともとこの制度(被災者生活再建制度)がすべての被災家屋などを救済対象にしているものではないので、救済できない地域があることはやむを得ないとの見解が説明された。また、国としてはどこかで線引きが必要(救済するところとしないところ)なので仕方がなく、国で救済できないところは県がやるべきであるとの意思が強調された。

これに対し牧副市長からは、(国は)地元住民の気持ちを理解するべきであるということや、見直された新制度で住家の再認定をして半壊となっても、液状化被害から修繕するには全壊家屋と同じくらいの費用がかかることを国は考慮するべきだとの意見が述べられた。
また、長谷川審議官の自治体も分担するべきとの見解に対して、南栗橋地区を選挙区にもつ中野譲衆議院議員は、自治体の財政を考慮するべきであり、今までの役割分担論ではダメだと述べた。また、先日の制度見直しは、少しでも国が救済できる被災者を救うためにとの考えから行ったものであるが、今、国と自治体の分担論を出して(南栗橋の場合は)国が救済策を考えないのは整合性がとれないと強調して意見を述べた。他にも牧副市長同様に、液状化被害の場合には半壊家屋の場合でも全壊並みの費用負担が生じることを考慮すべきであることも強調した。

長谷川審議官は、地元の皆様の声を大臣に伝えると述べた。

今日の要請活動参加者は、久喜市議会から岸議長、梅田副議長、石川「政策会議」代表、山田「飛翔」代表、戸ヶ崎「公明党久喜市議会議員団」団長、木村「日本共産党久喜市議団」代表の6名が参加。久喜市(行政)からは田中市長、牧副市長の2名が参加。ほかに吉野埼玉県危機管理防災部長、梅沢埼玉県議会議員の2名で合計10名が要望活動に参加し、市と市議会の担当職員も随行しこれに同席した。
また、要請活動には埼玉県内の与党議員として山根参議院議員、中野衆議院議員、本多衆議院議員、向田衆議院議員、森岡衆議院議員、野木衆議院議員が同席した。

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(右から:要望書を手渡す田中久喜市長、石川「政策会議」代表、戸ヶ崎「公明党久喜市議会議員団」団長、木村「日本共産党久喜市議団」代表、要望書を受けとる長谷川審議官)
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要請文は以下の通り

東日本大震災に伴う液状化被害に関する要望書

 

平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、関東地方において液状化による建物等への被害が広範囲の地域で発生し、特に久喜市南栗橋地区では、住宅やライフラインに大きな被害が集中して発生しました。

市としても、直ちに災害対策本部を設置し、被害を最小限に抑えるため、全力で住民の安全・安心の確保に努めてきました。さらに、道路や上下水道、電柱等の復旧のため、関係機関と連携を図りながら全力で対応してきたところです。

このような中、液状化による建物の沈下や傾斜などの被害に見舞われた住民は、生活再建のため多大な負担を強いられ、傾いた家屋での慣れない生活からの健康被害や不安を感じ、日常生活にも大きな支障をきたしています。

液状化による住宅被害を受けた住民に対し、早急な生活再建への支援が必要です。

生活再建のためには、被災者生活再建支援法などの公的支援制度が必要不可欠です。

こうした公的支援制度の適用に必要な「り災証明」については、先般、内閣府から液状化被害についての調査・判定方法が示され、一定の見直しが図られたところです。

しかし、現在の被災者生活再建支援法では、全壊家屋数を以って市町村単位で適用を判断する制度となっており、同じ被災を受けても市町村によってはこの制度の支援を受けられない場合が想定されます。

このたびの液状化被害は広範囲の市町村に及ぶものであり、公的支援制度の弾力的な適用、拡充が求められています。

また、同法による支援金の支給対象に半壊家屋は含まれておらず、さらに支給額は被災者の生活再建への支援策としては十分なものとはなっていません。

このようなことから、被災された住民が1日も早く安全で安心して暮らすことができるよう、以下のとおり要望します。

1.       被災者生活再建支援法の適用要件について、全壊家屋のみの判断だけではなく大規模半壊又は半壊2世帯を全壊1世帯として扱うなど弾力的な適用を図るとともに、支援金の支給対象の拡充及び支援内容の充実を図ること。
2.       液状化による被害の実態に即した新たな支援制度の創設及び適用を図ること。

 

 

平成23年5月27日

内閣府特命担当大臣(防災)  松 本  龍  殿

(ちょい一言)
地元国会議員を通じて大臣との面会を調整していたが、結局、大臣には会うことができなかった。いろいろ事情があると思うので、やむを得ないと思う。
今日も、当初は局長級の総括審議官にお会いする予定でいたが、これも急遽、予定が変更となり大臣官房審議官にお会いした。

大臣への要望活動に代理として、審議官が出席くださり意見を述べて頂いたので、私は大臣を代弁をしていると受け止めた。
審議官の国と自治体の分担論は、基本的には理解できる。しかし、これを理解した上でもさらに国で負担をもっていただきたいことを要望しにきたにも係らず、国ではなく県がやるべきこととの見解には、正直、驚き、怒りされ覚えた。
審議官のどこかに線引きをしなければならないという主張も分からないものではない。でも、我々はその線引きを変えて欲しいと要望しているのであって、線引きをなくせとは言っていない。

中野譲衆議院議員もかなり強い口調で、審議官の発言に対して意見を述べていた。中野衆議院議員、副市長も述べていたが、液状化被害での家の引き上げなどの修繕費用は半壊でも全壊でもほとんど変わらないと言われている。だとすれば、見直された制度で新たに半壊と認定されても全壊並みの救済策がなければ被災者の負担軽減にはつながらない。

着席しての要望活動が終わった後、私は審議官のところに行き、冷静に私の思いを伝え、意見を交わした。要望活動中の中野衆議院議員の意見もあったので、審議官は「お気持ちは本当に分かりますので、大臣にお伝えします。」と何度も繰り返していた。大臣には、南栗橋の液状化被害にももっと目を向けていただきたい。

帰り際、思わず同席して頂いた国会議員の1人に、国に要望しに来ているのに、「県にやっていただきたい」などと審議官に言わせるようではダメだと言った。我々は国の制度運用見直しのために国に来ているのに、当の国が「県に」はないだろう。国、県、市それぞれが、正に分担して救済するべきである。国は、「分担して」といいながらもこの件については、「県に」「県が」と繰り返す姿勢は理解しがたい。

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