各意見書の賛否と考え方 

 

11月議会閉会 意見書の賛否
 11月久喜市議会が、12月21日に閉会した。最終日には、子宮頸がんワクチンの費用などが市長から補正予算で提案され、事前に提案されていた全議案が可決成立した。

議会が地方自治法の規定によって、国会と関係行政機関に要望などを行う意見書については、各会派で下記の通り賛否が分かれた。

意見書名 意見書提案者 意見書の概要
意見第9号
尖閣諸島の帰属の明確化と、国家国民の主権と安全を守る法整備を求める意見書
松村茂夫 (飛翔)  尖閣諸島が日本固有の領土であることを、証拠をつけて中国と世界に説明をすること。尖閣諸島周辺海域の警備体制を強化すること。日本の主権を守るための法体系の整備を速やかに実施することなどを国に要望する。
意見第10号
久喜市の警察行政管轄の一元化を求める意見書
並木隆一 (飛翔)  現在、新市の中では、旧久喜市・旧菖蒲町・旧鷲宮町が久喜警察署管内、旧栗橋町が幸手警察署管内である。市民生活の上から、警察行政の一元化を埼玉県、埼玉県警に求める。
意見11号
地方議会の権能強化のための法改正を求める意見書
石川忠義 (政策会議) 「全文」
地方分権が進み、地方自治体の自己決定権が拡大し、住民に対する議会の責任は増している。このような中、一部の地方自治体においては、議会の議会招集権を無視した運用が行われるなど、我が国の地方自治制度である二元代表制を否定する事態が発生している。
この際、国会及び政府は、地方議会の権能を強化し長と均衡のとれた二元代表制に改めるため、下記の事項につき所要の法改正に着手するように要望する。

一 議会招集権を議長に付与すること
一 専決処分が不承認となった場合、これに係る未執行の関係予算が執行停止になることを義務づけるなど、対策を講じること。衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣 あて

意見第12号
JR宇都宮線の始発電車の繰上げ・最終電車の繰り下げを求める意見書
梅田修一 (飛翔)  JR宇都宮線の最終電車をもっと遅く、始発電車をもっと早くから運行するように国土交通大臣に求める。
意見第13号
地方整備局の事務所・出張所の存続を求める意見書
大鹿良夫 (飛翔)  地域主権改革で、国から地方へ権限を移している。しかし、利根川上流河川事務所は存続させること。予算配分防災・生活関連・維持管理に重点配分することなどを内閣総理大臣他に求める。
意見第14号
「彩のかがやき」品質不良に対する農家支援を求める意見書
石田利春 (共産党)  今年の高温で、「彩のかがやき」の品質が低下し、販売が困難になっている。農家の今後の資金繰りなど深刻な事態が予測されることから、国に販売促進や農家への特段の支援を求める。
意見第15号
TPP交渉への参加方針撤回を求める意見書
杉野修 (共産党)  農業や関連産業を守り、食料安全保障の観点から、関税撤廃を原則とするTTP交渉に参加する方針を国が撤廃することを求める。
意見16号
「国保の広域化」に反対する意見書
木村奉憲(共産党)  国は、国民健康保険を広域化(都道府県単位=現在は、多くが市町単位)した上で、大幅な国庫負担の削減をもくろんでいる。今後は、国庫負担の削減を止めて、国保の広域化をしないことを国に求める。
意見第17号
圏央道の早期開通を求める意見書
富澤孝至 (政策会議)
宮崎利造 (飛 翔)
戸ヶ崎博 (公明党)
木村奉憲 (共産党)

※ 文案は、富澤議員(政策会議)が作成し、各会派に提示。結果、各会派の共同提案になりました。

 国は、11月30日に圏央道の桶川北本インターチェンジから白岡菖蒲インターチェンジ間の開通目標について、当初計画の平成24年度から平成26年度以降にすると発表した。久喜市や関係自治体は、平成24年度開通に合わせて企業誘致や産業団地の建設などを進め、協力もしてきた。国の発表は、納得できるものではない。
開通時期をあいまいにせず、明らかにすることと、極力、平成24年度に近いうちに開通することを国に求める。
意見第18号
久喜市栗橋地区の利根川堤防整備事業の継続を求める意見書
矢崎 康 (公明党)
柿沼繁男 (飛  翔)
石川忠義 (政策会議)
石田利春 (日本共産党)
 旧栗橋町住民の請願にもとづいて提案された意見書。会期中に提案することが決まり、代表者会議によって各会派の共同提案という形で提案することになった。
請願の内容は、平成19年の利根川堤防強化改良案が一部にスーパー堤防を含めて整備することで進められていたが、国の事業仕分けによって、スーパー堤防事業の廃止が決定した。
そこで、久喜市議会に国がこれまで旧栗橋地区住民との合意を踏まえて進めていた、利根川堤防強化改良案で今後も堤防整備を進めるように意見書提出を求めるというもの。

所管する委員会で上記の請願が採択されたため、議会最終日に請願と同内容の意見書が提案された。

意見書番号 「石川 ただよし」の各意見書に関する考えと賛否 「政策会議」の賛否 「飛翔」の賛否 「公明党」の賛否 「日本共産党」の賛否 採決の結果
意見第9号  日本の領土である尖閣諸島への違法行為や許されず、中国人漁船による海上保安庁巡視船への故意による衝突事故も許すことはできません。今後も他国からの尖閣諸島への侵略的行為が予想されるので、国として警備体制を強化する必要があると考えたため、賛成しました。 賛成 賛成 賛成 賛成 可決
意見第10号  他の議員が、「旧栗橋町の中でも、地域によっては幸手警察署の方が近く、便利に感じている市民・地域もある。住民の意向を確認すべきだが。」という質疑をしました。これに対して、提案者からは住民の意向を確認する必要はない。との答弁があったため、どのような方法をとったとしても住民の意向は把握してから進めるべきと考え、意見書に反対しました。 反対 賛成 賛成 賛成 可決
意見第11号  私が文案を作成し提案しました。
鹿児島県阿久根市長による違法な臨時議会不招集と専決処分連発が注目されています。他にも全国には、阿久根市と同様にこれらの違法行為を行う長も出現し、それぞれの地域で問題となっています。
臨時議会不招集や必然性のない専決処分は違法ですが、罰則や是正措置がないことから、心無い長が、この違法行為を行っています。
このことから、こうした長による違法行為ができないように、議会の権限を強化し、本来の二元代表制として民意を政治に反映できるように国が地方自治法を改正するように求めました。
賛成 賛成 賛成 賛成 可決
意見第12号  本来は、意見書は「関係行政機関」にだけ提出できます。
今回の意見書は、ダイア改正などの実施主体であるJRに議会としての意思表示を何らしない中で、いきなりダイア改正の許認可権だけがある国に対して提出するものなので、順序が間違っています。国は、JRのダイア改正申請や届出などがあった場合に、それが適当かどうか判断するだけで、実施主体ではありません。

市は、行政機関として近隣市町などと毎年、JRに要望をしています。議会もいきなりダイア改正自体の権限がない国ではなく、実施主体のJRに「決議」や「要望書」などを提出して真意を伝えるべきでした。
私が提案者にこの旨を指摘して質疑した際には、今後、議会としてもJRに何らかの要望をすることの必要性を認め、取り組んでいく意思があることが確認できたため、順序は違いますが、賛成しました。

賛成 賛成 賛成 賛成 可決
意見第13号  この意見書とほぼ同様のものが、全国の自治体議会で国家公務員の雇用確保という観点から労働運動の一環として、提案されています。ただ、この意見書には雇用確保の一部分が削除されているので、労働運動としての位置づけを確認したところ、提案者は、労働組合とは一切の係りが無いということを明言しました。

地域主権の考え方から、国でなくてもできることは身近な地方が担うべきであり、埼玉県も地域整備局で担っていることを県が担えることを主張している。こうしたことから、国がどうしても国としてやらなければならないという理由を質疑しました。
これに対して、提案者の答弁では、これまでの利根川土手構築に関する関係地権者と築き上げた信頼関係もあることを述べた上で、そうした中においても県とこれまで以上に協力することで、利根川の安全における事業が推進できる旨を答弁しました。

提案者が、雇用確保の視点ではなく、安全を確保する視点だけで提案したことを明言し、さらに地方整備局と県の役割分担も認めた上で、国でなければならない部分以外は県と協力して事業を推進する必要性を認めたので、賛成しました。

賛成 賛成 賛成 賛成 可決
意見第14号  意見書の宛先をめぐって、議会運営委員会などで対応を協議した。結局、はじめの宛先である県は、既に相当取り組んでいるので削除して、新たに国を宛先としました。
私の質疑では、国は既に現在支援できることの2つを掲げ、1つは激甚災害が前提なのでできない。2つ目は、すでに推進されていることを述べ、それでも国に何を求めるつもりなのかを質疑しました。提案者は、国に対して2つのこと以外に米販売の広報や技術的援助だと答弁したことから、賛成しました。
賛成(新井・猪股のみ反対) 賛成 賛成 賛成 可決
意見第15号  「飛翔」の提案により、期限を定めないで継続審査に決定。担当委員会は、環境建設水道常任委員会に決定した。
意見第16号  私は、広域化することのメリット(保険料の一元化・事業の効率化など)とデメリットを質疑しました。これに対して、提案者は、広域化のメリットを認めました。私は、さらに、問題の本質は、これまでの国庫負担金減額にあることを質疑すると、提案者はこれも認めました。
私としては、広域化した上で国庫負担の増額をすることで、一般会計からの繰り入れも少なくてすみ、市町村には十分なメリットであることを述べましたが、提案者は広域化には断固反対の旨を述べたので、この意見書に反対しました。
反対 反対 反対 賛成 否決
意見第17号  会派内で熟議を行い、圏央道開通遅延がこれまでの市の取組みと今後の工業団地への企業誘致や市民生活に悪影響を及ぼすことを懸念して、意見書提出に賛成しました。
(意見書提案の発意と文案作成は富澤孝至議員)
賛成 賛成 賛成 賛成 可決
意見第18号  請願採択を経て、全会派の共同提案で提案しました。
旧栗橋地区住民の意見などまったく聞かないまま、国は事業仕分けでスーパー堤防の廃止を決定しました。旧栗橋地区では、国・県・町と地元地権者などと粘り強く話し合いを続けて、堤防の一部にスーパー堤防を採用することで「利根川堤防強化改良」を進めてきています。今更、地域の実情を無視して、事業仕分けの結果としてこの進め方が変更になることは許せないものがあります。
請願内容に賛意を示し、意見書を提案しました。
賛成 賛成 賛成 賛成 可決

 

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