国保税大増税案が市議会に提出 

 

国民健康保険税 大幅値上げ
今日開会の久喜市議会に国民保険税の大幅増税の案が提出された。
久喜市の国民保険会計は恒常的な赤字体質となっており、毎年、一般会計からの繰り入れをしてきていたが、今回、この繰入金を増やさずに国保会計を維持することを目的に大幅な増税案となっている。
可決されれば4月1日以降に適用される。
今回の理由は中間所得層にとっては厳しい内容で、例えば、4人世帯で世帯収入が500万円以下で5万から6万円ほどの増税となる。
所得が中くらいで、家族が多ければ多いほど、値上げ率が高くなっている。
この件に対して、担当課の協議会などでの説明では、「高所得者が今まで面倒見てあげていたからだ。」というが、高所得者には限度額が設けてあるし、国保財政全体の税収入に占める高所得の割合が高いものの、中間所得層以下の医療費自体を高額所得者が面倒を見てきたとは一概に論ずるのはおかしい。制度を運用しておいて、”今までは高額所得者が払ってやってたんだから、今度はあんたらが払え”的な発想は疑問だ。
各家庭の総所得に占める国保税の負担率を考えれば、気の利いた政策的判断ができたはずだ。

今回の値上げ案の試算は、収納率が88.3%で行われている。この数字から色々な意味が読み取れることだろう。

(ちょい一言)
人間が長生きすればするほど、医療や福祉、保険、さらには年金なども含めた社会保障費が増えるのは当然である。個人の収入に占める健康維持や福祉などにかかる費用は、長生きすればするほどかかるのだ。
それでは誰がその費用を払うのか。
個人の負担を少なくして、幅広く公が負担していくのか。それとも公はあまり負担しないで、できるだけ個人が自力でやっていくのか。

日本の国保は、1961年に、それまでは雇われてた人しか加入できなかった制度を改めて、自営業者や農林水産業者も加えて皆保険制度ということでスタートした。しかしながら、高齢者加入比率の増加、低所得者の増加などの社会状況の変化から、構造上、制度が破綻していた。

前述の通り、国保は自営業者や農林水産業者や定年退職した方や無職の人が加入する仕組みになっている。そのため、構造上、加入者の半分ほどが無職者や低所得者が占めている。
そして今後、定年退職した人や無職の方は益々増え、高齢者の数も増える一方なので医療費もさらにかかる。
つまり、国保は低所得者の割合が高く、医療費がかかる層を多く含んでいるので、構造上、今の制度では立ち行かないことは明白であり、今までのような「相互扶助」の精神でやるならば、現行の自己負担率を3割を増やす他にはないのだ。
しかし、政府は「相互扶助」の精神を生かしながらも、利用者負担を押さえる政策をとっていたので、加入者全体の負担が増えてきていた。

この破綻した国保制度ももとで一番大変なのは、実際に保険者になって運営してきた市町村だ。法律で税率をはじめ、制度をガチガチに固めておいて、社会状況の変化から、国保財政が危機に瀕し、そのしわ寄せは全て市町村にふりかかってきている。そしてその結果、一般会計からの繰り入れという苦肉の策をとるしかなかった。

繰り返すが、国保は既に10年程前から制度上、会計上、構造上、破綻していた。にも関わらず多くの自治体は制度上破綻した国保のしわ寄せを加入者にできるだけかけない為に、一般会計などからの繰り入れでまかなっている。
一般会計からの繰り入れは、あくまで特例ということは押えておかなければならないが、それでも、今回の久喜市のように、一方的、急激に加入者の負担増を強いることは、かえって保険料未納者を増やし、国保財政を悪化させるという悪循環になりかねない。
増税はやむを得ない。ただし、できるだけ加入者の負担感を和らげる為にできることをすべきだ。すでに加入者のほとんどが所得の比較的少ない位置をしめているのだから。
一時的に一般会計からの繰り入れを増やし、税率を少しずつ増やし、不足分にあてるべきだ。また、未納者・未加入者対策も急務だ。何事にも段階が必要だ。第一、今後、国保は県がその事務を行うことが決定している。税率なども県が決定し、県下一斉の制度ととなる。それまでのわずか2.3年の間の見通し、やりくりのめどを立てることがなぜできなかったのであろうか。

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