12月14日の県議会警察危機管理防災委員会において、「無所属県民会議(石川所属会派)」と「自民党」がそれぞれ提案した「埼玉県迷惑行為防止条例の一部を改正する条例」が審査され、「無所属県民会議」が提出した案は賛成少数で否決。自民党が提案した案は全員賛成で可決となった。
「無所属県民会議」、「民主フォーラム」、「共産党」は初めに採決された「無所属県民会議」の案に賛成したが、これが自民党の反対で否決になったことから、このままでは近年、増加傾向にある公共施設や公共の乗物以外での「盗撮」の防止や取り締まりが難しくなることから続く「自民党」の案にも賛成した。
公共施設や公共の乗物以外での盗撮についての規定は、両案に大きな相違はなく広く盗撮を防止・取り締まるものだが「無所属県民会議」案は盗撮以外の痴漢・のぞきなど卑わいな行為を「自民党」の案よりも厳罰化して犯罪防止などの効果を期待するものとなっていた。
「現行条例」「無所属県民会議の改正案」「自民党の改正案」の対照表
現行条例 | 無所属県民会議の改正案 | 自民党の改正案 | |
盗撮の
規制対象場所 |
・公共の場所又は公共の乗物 | ・公共の場所又は公共の乗物
・人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所(風呂・更衣室・トイレなど) ・不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物 (教室・事務所・タクシーなど) |
・公共の場所又は公共の乗物
・人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所(風呂・更衣室・トイレなど) ・不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物 (学校・事務所・タクシーなど) |
不当な客引きとなる対象 | 歓楽的雰囲気を醸し出す異性の客をもてなす飲食店などの客引き | 同性間・異性間を問わず歓楽的雰囲気を醸し出す飲食店などの客引き |
改正なし |
盗撮の罰則 | 対象:公共の場所又は公共の乗物における盗撮
・6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
常習性のある盗撮 ・1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
対象:公共の場所又は公共の乗物以外を含めた盗撮・盗撮準備行為
・1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
常習性のある盗撮・盗撮準備行為 ・2年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
対象:公共の場所又は公共の乗物以外を含めた盗撮・盗撮準備行為
・1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
常習性のある盗撮・盗撮準備行為 ・2年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
盗撮以外の罰則 | 対象:人に不安を覚えさせるような卑わいな言動
・6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
常習性のある人に不安を覚えさせるような卑わいな言動 ・1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
対象:痴漢・のぞきを含む卑わいな言動
・1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 常習性のある痴漢・のぞきを含む卑わいな言動
・2年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
対象:痴漢・のぞき・卑わいな言動
・6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
常習性のある痴漢・のぞき・卑わいな言動
・1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
<ちょい一言>
私が所属する「無所属県民会議」では松坂議員に盗撮に関する相談があったことから、同条例の改正を検討してきた。
同条例の改正趣旨や改正の方向性について「無所属県民会議」と「自民党」は水面下で調整はしていたが、検察との協議が両会派ともほぼ同時に終わったことなどから、結果としてそれぞれの案が今議会に提案された。
「無所属県民会議」では同条例を検討する過程で、「公共施設内」や「公共の乗物内」以外の場所での盗撮やカメラを差し向けての盗撮準備行為に現行条例が適用されない不合理を所属議員が共通の課題として捉えていた。
会派内に発足した松坂議員を長とする「同条例改正プロジェクトチーム」では大学教授にアドバイザーを務めて頂き、弁護士にも相談をしながら同プロジェクトチームでの議論を経て条例改正を準備していた。
その結果、盗撮の規制対象場所の拡大と盗撮・のぞき・痴漢・卑わいな行動などの罰則を強化し、常習性がある者にはさらに罰則を上乗せして厳罰化する改正となった。自民党案とは大きく違う点である。
「無所属県民会議」案のように厳罰化ができないことは残念だが、まずは県民を「盗撮」被害から守ることが先決と判断した。