久喜市議会2月議会開会 平成19年度予算は増額 |
---|
昨日開会した久喜市議会2月議会で、市長から平成19年度予算案他の議案が提案された。
田中市長が提案した平成19年度の予算は、一般会計が前年度比11.0%増の206億200万円、国民健康保険特別会計など5つの特別会計の合計は前年度比5.8%増の167億1750万円、企業会計方式の水道事業会計前年度比4.6%減の23億3843万円となった。 このうち、一般会計予算の伸びに関して市長は、10年前に発行した「ふれあいセンター久喜」建設事業債の借り換えであり、この借り換え分を除いた実質的な予算規模は、196億880万円となり、前年度比10億4180万円、5.6%の増だと説明した。 また、市の借金である市債は、南中学校校舎改築やひまわり保育園施設整備事業、圏央道側道整備事業など大規模な普通建設事業が伴うこともあり、借換債を除いても、前年度比で6億7800万円、58.5%増となったことを明らかにした。 他に市議会には、市長から「久喜市防犯のまちづくり推進条例」など全28件の案が提案され、議員提出議案は、議員定数削減や地方自治法改正による議会規則や委員会条例などが提案された。 久喜市議会では、2月23日(金)の会派代表質問から、これらの本格的な審議に入る。 |
(ちょい一言)
今日の久喜市議会では、市長が平成19年度の施政方針演説を行った。この演説の中では予算編成の方針や新年度の各種事業の説明、市長の考え方などが述べられるもので、市長の1年間の抱負でもある。
余談だが、他の自治体では教育委員会には予算編成権がないとはいえ、その職務の重大性や法によって教育委員会の権限は一般行政から不可侵の領域であるため、教育長が1年間の方針について教育方針演説を行うところがあるが、久喜市では実現していない。
ところで、市長の今回の施政方針は、細かい事業については新規事業も少なくなく、あまりあっと驚くような内容のものではなく、市民や議員の要望を取り入れた無難な予算編成だったという印象だ。
ただ、気になった点があった。
市長は、施政方針の前段で久喜市の予算編成方針の前に国の予算についてのべましたが、この中で昨年12月に閣議了解した「平成19年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」から平成19年度の日本経済が「企業部門、家計部門ともに改善が続き、自立的、持続的な経済成長が実現する」と紹介している点だ。
今まで久喜市は議会答弁などを通じて、国の楽観的な経済見通しをそのまま素直に受け入れて判断することはなかったように記憶している。
それが今回は政府の経済見通しを機械的に素直に引用している点が気になる。生活者の視点に欠けることがないのか、一抹の不安を感じる。
実際に厚生労働省が発表した2006年平均の有効求人倍率は、14年ぶりに1倍台となって求職者数を求人数が上回ったが、中身は、正社員としての求人倍率が0.63倍でパートなどは1.46倍となっており、就業者数に占めるパートやアルバイトなど、正社員に比較して賃金が低く抑えられる雇用形態が増加しており、完全失業率もわずかながら上昇している。働いても貧困から脱せないワーキングプアの増加や格差社会と言われる所以でもある。
しかも、読売新聞によれば大田経済財政相は、1世帯あたりの実質消費支出額が前年同期比でマイナスとなったことについて、「暖冬の影響もある」と述べたということだが、既に12ヶ月連続で1世帯あたりの実質消費支出額が前年実績を下回っていることを考えると、暖冬のせいにする理論は通用しない。
生活保護受給者や児童扶養手当支給者が増加傾向にあるのも、政府発表の楽観的な経済見通しとは裏腹に、実際には家計が厳しくなってきていることを物語っている。
楽観的な政府見通しに頼りすぎ、住民負担が過剰に増えたり、サービスの打ち切りが一方的に行われることがないよう、自治体と議会は責任ある対応をしなければならない。