「地方議員年金が復活をしないよう求める」意見書 自民反対により幻に消える 

 平成30年埼玉県議会の6月定例会において、県議会会派「無所属県民会議」(石川所属)が用意した「地方議会議員の議員年金制度を復活しないよう求める意見書」が議会運営委員会の正副委員長調整で採用されないこととなった。

 埼玉県議会では、慣例により全会派が一致した意見書や決議を議会に提案し採決をすることが基本になっている。
 各会派が起草した意見書や決議の文案は、議会に提案する前に議会運営委員会で提案すること自体の審査を行うため、文案が出そろったところで同委員会の正副委員長が各会派の意見を聞いて全会派で共同提案をする意見書や決議が決定される。ただ、最近では全会派の賛同が得られなくても所定数の提案者数を確保をして単独や少数の会派が共同で提案する例も増えている。

 「地方議会議員の議員年金制度を復活しないよう求める意見書」は、自民党等が一度は廃止をした地方議員年金を制度を変えて復活させようとしていることに異を唱え、これの復活をしないように埼玉県議会の意見として国や国会に求めるものだった。

 各会派間の調整を行った自民党県議団の議会運営委員会副委員長によると、「(国会の)自民党は、今国会では地方議員年金の年金復活を見送ったので。」自民党埼玉県議団として同意見書案には反対するとのことだった。
 現在の埼玉県議会では自民党県議団が過半数を制しており、このまま自民党県議団等の賛同がないまま同意見書案を賛同会派のみで本会議に提案したとしても採決では否決されるのは必至であることから、同意見書案は無所属県民会議として提案を断念せざるを得なくなった。

(ちょい一言)
 各会派の意見を調整した自民党県議団所属の議会運営委員会副委員長によると、埼玉県議会最大会派の自民党県議団が同意見書案の提案に反対する理由は「(国会の)自民党は、今国会では地方議員年金の年金復活を見送ったので。」というものだ。
 報道にある通り、自民党は地方議員年金制度の復活に係る法案提案を”今国会”で見送ったに過ぎない。(2018年6月28日「読売新聞」、2018年7月2日「東京新聞」)来年の統一地方選挙、その後の参議院選挙への影響に配慮して一時的に見送ったとして理解するのが一般的な見方だ。
 地方議員の年金制度は、これまで言われている通り単に「地方議員のなり手不足を解消するために」いわば特権的に制度を復活させるべきではない。少なくとも広く、国民、当該住民等で議論に議論を重ねるべきである。
 
 取りあえず見送り、選挙が終わってからいつの間にか復活という最悪の事態は避けなければならない。
 そういう意味でも、”今国会で見送ったから(自民党が)”という理由で、賛同を得られない事態に理解ができない。

以下、参考に幻となった意見書案を掲示します。
文案は、私(石川)が作成しました。作成後、所属する無所属県民会議の了解を得て6月定例会に提案する予定でした。送付先は、衆参両院の他、関係する国の機関を予定していました。

「地方議会議員の議員年金制度を復活しないよう求める意見書」

 地方議会議員年金制度は、昨今の厳しい年金財政の状況を踏まえ平成23年6月1日に廃止された。
 しかしながら、平成29年7月・8月には全国都道府県議長会、全国市議会議長会、全国町村議会議長会から地方議会への多様な人材確保の観点から地方議会議員の厚生年金加入のための法整備を求める決議や政府等への要望活動が行われ、国会においても議員立法により地方議員が厚生年金に加入できる法案を提出する動きがあったことが報道されている。
 そもそも、事業所に常時使用される人が加入する厚生年金に地方議員の加入を認めることには無理があり、必要であれば国民年金基金などに加入する手立てもある。
このような中、公費負担を伴う地方議員の厚生年金への加入を認めることは、地方財政にも影響を与えると共に、かつて特権的と揶揄されていた地方議会年金制度の復活ともとれる内容で国民の理解を得ることはできない。
地方議会への多様な人材確保の必要性は理解できるが、それは議会運営方法の見直し等により行うべきである。
よって、国は地方議員の厚生年金への加入を認める法整備など、地方議員年金制度の復活ともとれる制度改正を行わないことを求める。

 

 

 

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