今日閉会した埼玉県議会平成27年12月定例会で、平成28年度予算を審査する「予算特別委員会」が設置されたが、この案とともに可決された要綱によって今後の予算特別委員会での知事の答弁機会を制限することが決まった。
要綱案は、埼玉県議会自由民主党県議団が提案し埼玉県議会公明党議員団が賛成した。この2つの会派以外では、無所属県民会議、民主党・無所属の会、日本共産党埼玉県議会議員団の3会派は反対、無所属改革の会は退席をした。
無所属県民会議では、予算特別委員会を設置することには賛成だが、知事答弁を制限することに反対し予算特別委員会の設置案に反対した。
これまでの同特別委員会では、知事出席の総括質疑は4日間だったが、今後は1日だけに制限。議会事務局の試算では、現行の知事への質疑時間16.5時間から2.5時間に激減する。
全国の地方議会改革の流れは、むしろ部課長の答弁を少なくし政策的な判断ができる市長など首長の答弁を積極的に求める議会の動きが増加している。今回の改正は、議会改革の流れにも逆行するものだ。
<ちょい一言>
二元代表制の一翼を担う議会自らが、行政の長であり政策的判断を行う知事の答弁機会を制限し議論を避ける姿勢は看過できない。多くの県民も納得できないはずだ。議会は議論をするところである。自ら議論を避ける要綱を提案した自民党県議団は県民に説明する責任がある。
この要綱を本会議に先立って議論した議会運営委員会では、委員から「これまで知事が総括的な答弁をしてしまって、聞きたいこととかみ合わないことがあった」との旨の理由を述べたが、これはその時々の司会者役であり議論を整理する委員長の力量によるところである。これが理由で、知事の答弁機会を制限するのには、合理的な説明になっていない。そもそも、今までの方法で10年以上も予算審査がされてきたことに関し、上田知事が当選した知事選直後の現段階になって提案することも不可思議な感じだ。
議会自らの知事との議論を避ける議会運営に納得ができない。