埼玉県は、県内の絶滅の恐れがある野生植物をデータ化した「埼玉県レッドデータリスト」を2011年以来、13年ぶりに改訂した。
「レッドデータブック」は、「動物編」と「植物編」がある。改訂が急がれていた「植物編」は、コロナなどの影響もあり調査と審議などに時間を要し改訂作業が遅れていた。
今回の改訂では、県内の在来植物4,813種のうち、1,113種(23.1%)がレッドリストに掲載された。
前回の時点から、新たに掲載された在来植物は82種類増え、県の自然環境が悪化していることが調査でも裏付けられた。
「タヌキマメ」は前回調査の「絶滅危惧」から「野生絶滅(飼育・栽培下でのみ存続)」となってしまった。
一方、1998年の同リストで「野生絶滅」とされた「ムジナモ」が、今回の同リストにおいて野生復帰を果たした。県によると県内で唯一生息していた地元の羽生市と埼玉大学の尽力によるところであり、県内で保全活動によって野生に復帰するのは初めての例とのことである。
今後、同リストを足掛かりに、県内在来植物の保全がはかられ良好な自然環境が保たれることが期待される。
<ちょい一言>
県レッドデータリスト植物編の早期改訂は、令和4年12月議会定例会・令和6年9月議会定例会で私が一般質問で取り上げた。
レッドデータブックは、動植物の状況を表す指標であり、適時自然環境の状態を把握し施策に生かすためにも重要なものである。できるだけ年月を開けずにデータを更新し、行政判断を行うための重要な指標である。
それにも関わらず、今回の県レッドデータブック植物編は改訂までに13年を要した。
議会では、「コロナ禍」であったために作業が遅れていた。また、調査機関の作業の遅れ等も理由に挙げられていた。
一定の理解はするが、調査内容を検討する会議頻度が少ないなど改訂に向けた作業に、積極的に取り組んできたかは疑問がある。
レッドデータリストは、重要な指標であるためできるだけ頻繁に改訂することが求められるが、現地調査や情報収集を念入りに行うため実際には5から6年程度は作業に時間を要すと言われている。
今回の県レッドデータリストの改訂には実に13年も要している。この間に環境が悪化するなどして、新たにリストに追加されたのは82種にものぼる。また、分類カテゴリーが悪化して野生絶滅に近づいた種もある。
県は今後、こうした状況をつくり出したことの検証を行い、今後の対策を早急に検討する必要がある。