生活保護費の「不正請求」合計で5500万円を突破 市は回収を |
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9月9日の久喜市議会一般質問で、石川が不正請求による生活保護費約5500万円と市に返還することになっていて、返還されていない生活保護費約2900万円の回収について質問。今後の市の姿勢と管理、回収方法の改善策について質した。
平成25年6月末時点での不正請求金額の1人あたり最低額は6200円で、最高額は784万5370円だった。一番長い期間、徴収できていないものは平成12年からのもので、13年間、市は回収ができていない。 また、平成25年6月末時点の不正請求89件のうち、67件、率にして75.3%が生活困窮などにより現在も生活保護を受給している。 |
< ちょい一言 >
いわゆる生活保護の不正請求金は、生活保護法第78条によって
「不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者があるときは、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の全部又は一部を、その者から徴収することができる。」
と定められている。
また、市に返還すべき金銭等は同法第63条によって
「被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。」
と定められている。
いずれも本来は、市が徴収、または市に返還されなければならないものである。
不正によって手にしたものや返すべきものを返さなければ、本当に生活などに困り生活保護を受給している人や納税者全体にも迷惑をかけ、公平性を保つことができない。市は、これらの徴収、返還に努力をしなければならない。
ただ、これらの債権は、税や保育園保育料などのように市が直接、滞納整理など強制徴収ができる債権(強制徴収公債権)ではない。強制徴収をするには、裁判所を介さなければできない。支払督促や訴えの提起が必要であり、これをするにはそれなりの専門的知識や経験、感覚などが必要である。
従って、常に多くの生活保護受給者を担当している社会福祉担当課の職員にこの業務を負わせるのには無理がある。いくらケースワーカーが、個々の事情を知っているといっても通常業務と合わせてできる量の業務ではないし、既に生活保護の受給をしていない人を1人1人把握、回収するのは困難だ。それを強引に進めれば、本来業務に支障が出ることも予測できる。
そこで、今回の一般質問では、税や市が直接、滞納整理など強制徴収ができる債権以外(非強制徴収公債権・私債権)を回収するシステム、制度を確立し、現在、各課にまたがっている市の債権回収を効率的に進めるべきだとの主旨の質問も合わせて行った。問題は、市に返すべき金銭が、生活保護費だけではないからだ。
これまでの議会でも税と市が直接、滞納整理など強制徴収ができる債権については、他の議員がとりあげていて、一定の答えが出ていた。平成26年度から各課にまたがっていた税と市が直接、滞納整理など強制徴収ができる債権の一部を一元化して管理、回収方法を検討するというものだ。
一方、今回の一般質問は、税と市が直接、滞納整理など強制徴収ができる債権以外に論点をしぼった。
結果、これらの債権すべてについて、現在は庁内連絡会議を設け、債権管理台帳の整理、各債権徴収事務マニュアルの作成をすすめているが、さらに債権回収ガイドラインを策定して業務の普遍化をはかるという。
このガイドラインの策定は、今年度末を目標にして関係部署で協議をすすめる。中身については、税や保育園保育料などのように市が直接、滞納整理など強制徴収ができる債権(強制徴収公債権)と裁判所の手続きを介して回収する債権(非強制徴収公債権、私債権)の名寄せや一元化についても協議して、ガイドラインで示していくと約束した。