議会に関する条例 もう少し先
議会に関する条例 もう少し先 |
昨日の9月市議会開会に合わせて開かれた、市議会各会派代表者による「代表者会議」において、会派「政策会議」から提案していた議会の基本などをさだめる条項や条例の制定などを協議したが、各会派の意見が分かれた。
議会の基本に関する条項や条例については、先ずは調査・研究・勉強・研修などの意見が必要との意見があり、策定作業自体は先送りとなった。
ただ、議会基本条例策定の必要性については、全会派が理解を示しており、将来的には策定することで合意した。
各会派の9月2日の代表者会議で、「政策会議」からの提案に対する意見の概要
右:議長を通して、「政策会議」から各会派に「早急に取り組むべき」として検討を要請していた事項
下:各会派名と構成 |
市が自治基本条例策定作業を進めていることを念頭に、久喜市議会のあり方・運営などの基本を定める条項あるいは条例(議会基本条例など)の制定作業に着手すること |
議員報酬適正化の検討のために、久喜市報酬等審議会の開催を市長に要請すること |
議員定数定適正化の検討をすること |
|
「政策会議」 (無所属7名で構成 代表: 石川忠義) |
市が自治基本条例の策定作業もしていることを念頭に、自治基本条例に議会の基本に関する条項を入れるか、あるいは別に議会基本条例を策定するかを協議すべきだ。
これらのいずれかの方法により、議会と市民の関係など議会運営の基本を制定するべき。(以前提案時の石川の説明を含む)
勉強や研修の必要性も分かるが、着手時期が未確定になる。できるだけ早く取り組むべきだ。 |
旧久喜市議会当時の1995年1月以来、議員報酬の適正化について、報酬等審議会が開催されたことはない。1995年から無開催は、県内でも異例な中に位置づけられる。(1番長い期間開催していないのは、旧久喜市より人口が少ないにも係らず、比較的報酬が高額な蕨市で、1994年7月以来)
報酬等審議会は、本来は頻繁に開催してその時々の報酬等の適正水準を審議すべきだ。よって、早期に開催することを要請すべきである。 |
合併時の合意事項でも、議員定数については適宜検討することとなっていた。
現在では、制度改正前(今は自治法が改正され、今後は議員定数の上限は法律上撤廃される。)の上限である34人を適用しているが、減少させることを含めて検討を開始すべきだ。(以前提案時の石川の説明を含む) |
|
「飛翔」 (みんなの党+自民党+民主党+無所属の17名で構成 代表:岸輝美議員) |
新市になって未だ間もなく、議会運営もよく定まっていない部分がある。この時点で策定作業をするのは時期尚早だ。
いずれ議会基本条例の策定は必要だが、議員全員で勉強や調査、検討を行ってからにするべき。 |
平成7年から、報酬等審議会は開催していない。審議会の開催を要請すべきだ。 |
議員定数の検討は、合併時の合意でもあった。
次回選挙は、平成26年4月なので、その1年前までに新たな定数が示せればいい。
議員定数は、減らすことが前提だ。 |
|
「公明党久喜市議団」 (公明党公認の5人で構成 団長:戸ヶ崎博議員) |
議会基本条例の必要性は認める。しかし、旧町出身や新人議員は、議会基本条例の研究と調査をしていくことが必要なので、勉強や研修をしてからにしたい。
策定の前に調査・研究が必要だ。 |
市長に審議会開催を要請することに反対しない。 |
遅くとも選挙の1年前までに、結論を出したい。 |
|
日本共産党久喜市議員団 (日本共産党公認の4人で構成 団長:木村奉憲議員) |
自治基本条例との関連もあり、旧久喜市議会基本条例の基礎もあるのだから、できるだけ早く着手した方がよい。
調査・研究と並行的に策定作業に入ってもいいと思う。 |
適正化の検討ということで、報酬の値上げが前提でなければ良い。 |
議員定数が削減ありきの議論ではいけない。削減では賛成できない。 |
|
協議の結果 |
策定作業に今着手することには合意得られず。
しかし、議会基本条例の必要性については全会派が理解しているので、勉強や研修を重ねた上でできるだけ早い時期に策定作業に取り組むことで合意。 |
議長からの提案があり、議員報酬に他の特別職も含めて報酬等審議会の早期開催を要請することで合意。 |
次回選挙の平成26年4月の1年前である、平成25年3月までには定数を決定する。定数を決定するための協議は、さらに前年の平成24年3月議会中から開始することで合意。 |
|
なお、この後に議会運営委員会が開催され、今の議会に提出されている陳情の扱いについて協議がされた。
陳情は2件で、1件は議会基本条例の早期制定を求める陳情でなっており、陳情者から意見陳述の場を設けて欲しいとの要望も付け加えられていた。
このことから、同委員会において「政策会議」から参考人制度などを使って陳情者から意見を聞くことを提案したが、共産党を除く2つの会派の了解が得られず、陳情者の意見を直接聞く機会は合意に至らなかった。 |
(ちょい一言)
議会基本条例に関して一言。
上記の3つの事項については、「政策会議」から7月5日に議長を通じて各会派検討を要請していたもので、昨日までの間、各会派内で検討した結果を協議したものである。
「政策会議」では、当初から「議会基本条例」については、現在、市が進めている自治基本条例との関連から提案していた。
議会基本条例を全国で初めて策定した北海道栗山町議会。全国的に有名で、議会改革の先進として今日まで取り上げられている。私もとても高く評価している。この「栗山町議会基本条例」の雛形は、あまり知られていないが北海道自治体学会の議会研究会が札幌市をモデルとして作成したものである。
当時の背景は、「自治基本条例」が行政と市民の関係だけではなく、自治の統治機構の一つである議会に関する事項を積極的に入れて、本来の自治の憲法を目指していたが、残念ながら以前の「ニセコ町自治基本条例」のように先行した条例では、それが大きく省かれたていたことによる。
北海道自治体学会や研究者の中では、こうした状況を見て、自治の憲法である条例が議会と市民の関係などについて積極的に定めずに、行政と市民の関係だけに比重を重くするのは、自治体の憲法とは言いにくい。行政基本条例に過ぎないとしていた。私も条例体系のあり方や地方自治の制度論的にもこの見解を支持している。
そして、議会に関する事項に比重を置かないまま全国に「自治基本条例」が広がったことから、やむを得ず議会の基本や市民との関係をこれと別に定めた「議会基本条例」のモデルが作成され、またたく間に全国の議会に広がった。 「自治基本条例」を自治体の最高法規と定め、自治体の憲法と称しながら、市長(行政)に並んで住民の代表機関である議会の基本を定めた「議会基本条例」が下位に位置することは、二元代表制として自治体の統治機構を理解する者にとっては違和感がある。「自治基本条例」と「議会基本条例」の2本立てというのも、憲法や最高法規性を言うなら辻褄が合わない。国の最高法規である日本国憲法の条項でも、行政の基本と国会の基本を定めていることからも、この異質性が理解できる。
旧久喜市議会では、「自治基本条例」が先行して策定していたことから、「議会基本条例」は後から別に策定し、2本立てとなった。合併後の今は、これから自治基本条例の策定作業に入ることから、前述の考えから改めてこの機会に久喜市議会として、「自治基本条例」の中で議会をどう考えるのか。議会と住民、自治基本条例の関連性は持つべきなのか。あるいは持たないべきなのか。色々な議論がしたかった。
自治体の憲法を定める市民との協働作業の中で、議会のあり方、位置づけ、市民と議会の関係、行政と議会の関係などを論ずるのはとても有意義だと認識していた。
「議会基本条例」は議員と市民がつくり上げていくものである。だから、他の会派が主張した、事前に議員による勉強・研修・研究・が必要で議会全体が充分に、制度やあり方を認識しなければならないことは理解できる。
今後は、「自治基本条例」の中でというのは難しい状況となった。ただ、議会基本条例の策定については合意ができた。今後は、さらに色々な方法を模索していきながら議会基本条例のあり方・制度を考察し提案・実践していきたい。