国保税の大増税を可決して久喜市議会は閉会 

 

国保税の大増税を可決して久喜市議会2月議会が閉会
 今日、久喜市議会2月定例会が閉会した。

来年度一般会計予算は10年前の予算規模に近い182億2400万円となり、他に現在久喜駅西口にある市営第一駐車場の廃止などを含んで可決した。
また、埼玉県で唯一、応能・応益割の比率を50:50にするなど、国保の税率を低所得者にとってきつい改正となる案も可決した。
一般会計の採決では、24名中、共産党や一部議員を除いて19名の賛成で可決し、国保増税条例は18名をもって可決した。
4月1日から値上げが始まる。

(ちょい一言)
国保税がついに値上がる。私には今回の値上げ案は最良の方法とは思えない。

昭和36年に国民皆保険として新たに始まった国保制度は、言うまでもなく今や完全に制度的に崩壊している。

国保は、原則的に他の保険に加入しない、できない国民の全てが加入することから、人口に占める国保加入者が多い反面、そのほとんどが低所得者で構成し、尚かつ、一人あたり医療費が比較的多い高齢者の加入がほとんどを占め、年々増加している。

本会議でも明らかになったように、久喜市の場合でも、一人あたりの医療費が高い高齢者、65歳以上の方が加入者の36.2%を占め、加入世帯の22.3%の方が所得がなく、その比率は10年前の16.3%から5年前は18.9% 、そして昨年が23.3%と確実に増加し続け、この傾向は今後も変わらない。

そして年間所得が100万円以下の世帯が全体の約41%、400万円以下の世帯では加入世帯の約88%を占めている。

さらに久喜市の国保加入一世帯あたりの平均年間所得は約177万円となっており、この額は市長会などが5年前に調査した全国平均の約186万円をも下回ると共に国保以外の政官健保の約236万円、組合健保の約379万円からも大きく差があり、国保が他の保険に比べて比較的所得が低い世帯で構成されていることが分かる。
そして国保制度ではこうした低所得世帯が占める比率が高い構造をしていることから、収入が少ない世帯への減免をして税額を減免していたが、今回の改正により、この所得が低い世帯への税負担が急激に増えることとなっている。

今回の税額改正では、税額の軽減世帯である世帯の年間所得が約99万円の世帯からはその収入の約13.12%が保険税として徴収され、年間世帯所得が約62万円の世帯では14.73%、さらに年間世帯所得が約7万円の世帯からは14.65%を保険税として徴収することとなる。
これに対して、国が定めた限度額があることによって、年間世帯所得が1000万円の世帯ではその所得の5.3%が保険税として徴収され、元来、生活費が苦しい世帯ほど保険税の負担が厳しいものである今までの制度に拍車をかける結果となっている。

市の説明では、増税にすることで、新たな国の軽減制度適用で、低所得世帯の保険税軽減世帯が2割という新設も含めて、まるで保険税軽減世帯全体が増えることにより、低所得世帯への配慮をしているかのような説明をしているが、実際には均等割り、平等割という国保世帯となっただけで、家族の頭数で無条件に課せられる税の増額によって、ほとんどの世帯が増税され、年間世帯所得が350万円以下の世帯で減税されるのは、1万593世帯のわずか1.2%の148世帯でしかない。

市では今回の税額、税率改正にあたり、「負担が軽かった人に負担してもらわなければならない。」と繰り返し説明しているが、それは違う。負担が重いか軽いかは、単に払う税額をもってしてではなく、世帯収入に占める保険税額の割合で考えるべきだ。
今回の改正は、負担が重かった世帯に、さらに負担を重くしたのだ。

本会議での質疑ではこのことに関し健康福祉部長は「所得のありなしで考えるのは、いかがなものか。」とし、さらに滞納が発生している状況を現実的に看過しながら増税を続けることについての保険者である久喜市としての公平性への質疑については答弁すらしなかった。

久喜市では今まで、先に述べたように既に国保制度が破綻し、久喜市の国保の先行きが不透明な中、低所得世帯に過度の負担をかけたくないからこそ、今までに渡って法定外繰り入れをしながら、どうにか会計をやりくりをしてきていた。それは、単に他の自治体もそうしているからということではなく、一つの政策的ポリシーがあったからこそ、この道を選んでいたはずだ。
それだけに今回の増税だけに頼った会計維持の方法は疑問だ。

平成17年度国保会計予算編成の中では、市の財政破綻によって繰り入れはやむを得ないとしながらも、市長は、増税がない場合の繰入額は、その限度を超えたという判断から、苦渋の選択として値上げを決断したということだが、国保制度維持の為の最良の方法とは認められない。

 

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